ミルクシェイクIPAとは?ビールの豆知識③
「ミルクシェイクIPA」とは?
ニューイングランドIPA(NE IPA)から派生したスタイルで、このスタイルを語る上では、アメリカのTired Hands Brewing CompanyやスウェーデンのOmnipolloの2つは外せません。彼らが、甘味を強める為の乳糖(ラクトース)、単にバニラが好きだから(?)と言う理由でのバニラビーンズ、そして手元にあるあらゆる抽出物を用いたことにより、そのビールは出来上がったと言われており、これがミルクシェイクIPA誕生のキッカケと言えるでしょう。
乳糖が添加されていることにより、IPAの苦味に甘味がプラスされ、トロピカルフルーツやバニラのアロマが感じられる味わいと、クリーミーな口当たりが特徴的。
乳糖とは乳製品などに多く含まれる糖分で、他の糖分に比べて構造が大きいという特徴を持っています。
ビール酵母は麦芽に含まれる「麦芽糖」などの糖分を食べてアルコール発酵を行いますが、酵母にとって乳糖はサイズが大きすぎる為、発酵に使われません。
その為、乳糖はビールの中に残るので、ビールに甘さを与えることが出来るのです。
ミルクシェイクIPAは、ミルクセーキからヒントを得たとも言われており、乳糖やバニラビーンズだけでなく、フルーツなどを副原料に使われることも多いです。
スタイルとして定着した後に、もっとぶっ飛んだ方向に進んでいった、このスタイル。現在では、考え得るあらゆるフルーツや香辛料を使った、このスタイルのビールを見掛け、それらの全てには乳糖やバニラが使われていると言っても過言ではありません。
派生前のスタイルであるニューイングランドIPAに乳糖が使われることも徐々に増えてきており、スタイル自体の線引きが難しくなりつつありますが、ミルクシェイクと言うスタイル名から連想する通りの、しっかりとした甘みを感じられるビールのみがミルクシェイクIPAとして販売されている印象です。
ミルクシェイクIPA誕生のキッカケ「ニューイングランドIPA」とは?
そのスタイル名の通り、アメリカのニューイングランド地方が発祥と言われており、諸説ありますが、バーモント州のThe Alchemistのビール「Heady Topper」とHill Farmstead Breweryがその始まりとされているのが一般的。
スタイルが定着するまでは、バーモントIPA、ノースイーストIPA、ヘイジーIPAと複数の呼び名があり、特に「ノースイースト(=北東部の)」や「ヘイジー(=霞みのある)」などは、2社に続いて醸造するブルワリーが増えたことにより、醸造範囲の拡大やその見た目から、より広義な呼び方が生まれていったとの見解が強いようです。
2018年、アメリカのBrewers Associationによるビアスタイル・ガイドラインにおいて「Juicy or Hazy India Pale Ale」として、新しいビアスタイルと定義されてからは、ヘイジーIPAと呼ばれることが一般的になっている印象です。
新しいビアスタイルではあるものの、クラフトビールの熱心なファンから人気があり、現在最も注目されるスタイルの1つと言えます。
そんな注目度の高いスタイル、ヘイジーIPAの特徴としては主に以下の4つが挙げられます。
・外観はオレンジジュースのように濁っているものが多い(ヘイジーと言われる所以である)。
・トロピカルフルーツや濃い柑橘の豊かな香り(よくジューシーと形容される)。
・苦味は中程度のものが多い(フルーティーな香りが甘味をより知覚させる要因もある)。
・絹のようななめらかな口当たり(小麦系ビールのそれに近い)。
味覚だけでなく、視覚や嗅覚でも楽しめるスタイルであることが、多くの支持を集めている理由と言えるかもしれません。
ヘイジーIPAの商品はこちら
https://www.sake-ya.jp/products/161987